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簿記論

最近複数の場所で、監査法人に入った新人の質の低下の話題がありました。簿記ができないというのです。決算整理などの仕訳すら怪しい人もいるらしく、ある研修担当者など「簿記の研修をやらなくては」全く冗談にもならないお話です。

その原因をお聞きしたところ、従来の簿記論や原価計算が現在の受験科目からなくなったことが影響しているのではないかということ。昔から会計士試験は簿記論と原価計算という2大計算科目があり、これができないと試験はまず通りませんでした。これら科目は与えられた時間で、問題文(情報)を性格に読みこなし適切に処理する能力を問うもので、会計士として必要不可欠な能力といわれていました。

監査論とか租税法とかも大切ですが、まず足腰の強い簿記の知識があってその上の応用科目であることがどこか忘れられているのでしょうか。経理の基本は簿記です。

公認会計士試験

公認会計士試験も平成18年から試験制度が変わり大量合格者が出て、就職難など司法試験と同様な問題が出ています。

ちなみに一昔の年間合格者5~600人の時代から、平成17年度合格者は1,308名、その後3,108名、4,041名、昨年20年度は3,625名と爆発的増加となっています。確かに合格者に監査法人の受け皿がないとか、補修所での研修体制、さらには質の低下など問題も多いようです。

しかしいろいろな意見はありますが、私は多くの後輩たちがこの業界に入ってくることにかなり肯定的です。人数が増えることはそれだけで良いことですし、何より人が増えればそれに見合う活躍できる場も増え、結果的に会計士業界全体の仕事も増えると思うからです。

就職難

先日の会合の中での話し、試験に合格し大手監査法人に就職できたのはよいが上からのアサインされる仕事がなく、事務所の中でネットサ-フィンしている人が何人もいるとの事。さらに1,2年、監査の現場にほどんど行けず事務勤ばかりの人もいるらしい。

その会合に参加した会計士のほとんどが「それはひどい」の意見で一致、みな下積み時代の大切さをよく知っているからです。やはり公認会計士である限りその専任業務である監査は経験した方がよい。試験合格後の3年間の雑巾がけが、その後の仕事の礎になるからです。ここでどれだけ吸収するかでその後が変わってきます。

景気の大幅な落ち込みや大量合格者の問題もいわれていますが、優秀な人材を育成し、さらに監査業界の健全な発達のために是非このような状況を打開していただきたいものです。

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